8050問題を考えるセミナー2021報告 第三回 講師:小野 秀樹

8050問題と活用可能な社会保障制度について
「ひきこもり支援の現状と課題 社会福祉法の改正も捉えて」
 ~藤沢市社会福祉協議会の活動から~

  • 講師 :藤沢市社会福祉協議会 常務理事 小野 秀樹
  • 2021年11月27日(土)

講師紹介

小野秀樹
藤沢市社会福祉協議会 常務理事

1980年より藤沢市役所入庁。経済部勤労市民課、片瀬市民センター長などを経て、2016年に藤沢市副市長に就任。
2020年から生活支援コーディネーターとして藤沢市社会福祉協議会で活動。
K2グループとは2010年頃、藤沢市において若者支援の取り組みを始める計画を検討するタイミングで関わり、
湘南・横浜サポートステーション、ユースワークふじさわなど、現在の藤沢市の若者支援の取り組みにつながっている。

以下の文章はセミナー当日の講師のお話を書き起こし、修正したものです。

ひきこもり支援に関わったきっかけ

「つぼみの会」という引きこもりの家族の親御さんの会が社会福祉協議会のスペースで定例会をされているところにご一緒させていただく事がきっかけで、藤沢でできることを検討したり、当事者の皆さん方のお考えを聞きながら、場所づくりを進めているところです。

社会福祉協議会(藤沢市役所庁舎の分庁舎1,2階)の2Fのスペースに支援員を2人配置して、ひきこもりや生活困窮など地域で孤立しがちな方の社会参加のきっかけづくりに取り組んでいこうとしています。たとえば、得意な方にイラストを描いてもらったり、作業を自宅でしていただくこともしています。ひきこもりの当事者や家族の相談については、毎月1回(第三木曜日)ヒューマンスタジオの丸山さんに相談を受けていただいています。また、勉強会をつぼみの会の主催で藤沢市と社会福祉協議会の共催で実施しています。

コミュニティーソーシャルワーカー(CSW)について

藤沢市内に14人のコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)を13のエリア各地区に配置し「断らない相談」をテーマにご相談をお受けしています。家計、収入減、家族、仕事、子育て、介護、いろいろお話を聞く場面があります。8050問題のようなご相談も多くなって来ています。断らないという事をテーマにしていまして、解決できないことも多くあります。相談実績は新規で2000件を超えていて、コロナ禍の緊急貸付の窓口もしていまして、CSWが自立への相談も合わせていることで、令和元年に比べると倍以上の相談になっています。ひきこもり、不登校については、令和2年で38件ありますが、直接解決に結びつけるのは大変難しく、専門機関につないだりしながら伴走的な支援をしています。またCSWは住み慣れた町で安心して生活できる社会を目指して、藤沢市を13の地域に分けて、生活支援コーディネーターという役割も担っています。

既存制度からの社会参加ミーティング」について

2021年8月から湘南就労支援センター(障害者就労・支援センター)、ユースサポート・ユースワークふじさわ(K2インターナショナルグループ)就労準備支援事業(いきいき福祉会とインクルージョンネットとの共同事業)、就労移行支援事業(藤沢ひまわり)の 4つの団体にお声かけをして、ひきこもり支援、包括的な相談支援の視点から各分野の社会参加支援の現状と課題について情報を共有しようというミーティングを始めています。この会のきっかけは、十数年引きこもっている当事者の方が自立するきっかけについての事例からでした。ご本人が自分が社会との接点が持てないのは自分自身に何か課題があるのではと感じ、クリニックに行ったところ、発達の障害があるとの診断で自分の生きづらさの意味が解って、障害福祉の事業所につながり、専門的な支援を経て、自立への道がつながったということでした。藤沢ではどうなっているのか、ご自身から社会につながりだす動きをするときに、どうしたらいいか? そうした時にどういう支援をご紹介ができるんだろうかということで、まずは関係のある機関と行政の部署が集まって情報交換を始めたところです。今後、制度の位置づけ、現状と課題などを話し合い、よりつながりを強くしていくためのミーティングとなっていければと思います。

これからの可能性について

これからの可能性についてお話をします。昨年の6月に社会福祉法という法律が変わり、社会福祉を目的とする事業を運営する中で、解決できない課題を把握した時に、その方の話をちゃんと受け止め、必要性を検討し、その方の相談の主旨をとらえて、必要があると認める時は支援関係機関に対して解決をするために連携するようにというように、相談のありようが定義されています。支援機関の皆さんは、このような視点をもって取り組んでいくことが重要だと思います。

重層的支援体制の整備において、引きこもっている方を含めて、社会とのつながりの支援が位置付けられています。

地域づくり事業として、世代や属性を超えて交流できる地域の居場所づくりや、アウトリーチ事業ということで、複合化した課題を持っている人のつながり続ける必要性についても、法律の中に位置づけられています。

昨年の6月にこの法律が改正されて約1年半が経ちました。重層的な支援をどのように取り組むのか、8050問題やヤングケアラーの問題にどのように取り組みを進めていくのか・・・。法律ができた事で予算と制度の義務が出てきます。

国が制度化したことで、具体的に支援が進む素地ができていくと思ってよいと思います。8050問題など、潜在的になりやすい課題について、皆さん方と、町役場や市役所を含めて議論していく環境が徐々に動き出していると思います。

藤沢市の社協としても、重層的な支援にどう取り組んでいくのか、具体的に進めていくための勉強会などを準備しています。このような制度化の流れはチャンスだと思いますので、しっかりと取り組んでいかなければと思っています。

タイトルとURLをコピーしました