8050問題を考えるセミナー2021報告 第一回 講師:金森 克雄

K2グループの支援から考える若者支援と8050問題

  • 講師 :K2インターナショナルグループ 代表 金森 克雄
  • 2021年10月16日(土)

講師紹介

金森克雄
1954年生  横浜在住 K2インターナショナルグループ(1988年創立)  創立者 グループ代表

30年以上、不登校・引きこもりなど生きづらさを抱えた若者の生き方・働き方支援に携わる。
①海外国内での共同生活②ミュージカル③ヨット大航海など、今もユニークで実践的な活動に取り組んでいる。

以下の文章はセミナー当日の講師のお話を書き起こし、修正したものです。

「つなぐ・つなげる・つながろう」

K2グループのはじまり

私は30数年前にマリン関連の会社にいたんですけど、当時フランスのグザヴィエ・ロワという若い人の書いた「クジラと泳いだこどもたち」という本に影響されまして、「登校拒否」後に不登校といわれる子ども達を共にミクロネシア連邦のポナペの大航海と無人島での生活という無謀でヘンテコリンな企画を実行しました。これが現在のK2グループの始まりです。

その後すぐにバブルがはじけてこのプロジェクトが続けられなくなり、親御さん達の強い要望や有志の方の協力もあり独立しました。

若者支援に思いがあってこの世界に入ったわけではなく、たまたま、なりゆきで今も居るわけですが、思えばそれから33年が経ちました。

「クジラと泳いだこどもたち」グザヴィエ・ロワ 
(学校になじめないフランスの子ども達が一年間のヨット航海の中で成長していく物語)
テスト航海 たった一人の不登校児を連れて南の島へ

ひきこもり問題の長期化による8050問題

今日は8050問題についての話ですが、私がこの活動を始めた当時「登校拒否(後に不登校」が問題になっていましたが、それはひとクラスに一人いるかどうかという話でしたから、まだこんなことになるとは思いませんでした。今思えば一つの転機は「不登校は誰にでも起こる事」だという認識が広まり、公的な支援が始まったことです。賛否あると思いますが、これは不登校やひきこもりの認知が広がる事にはなりましたが、問題が先送りになる原因でもあったと思います。「そっとしておこう、動き出すのを待とう」と専門家がみな口をそろえて言い始めた。まちがってはいないが、実情にあっていない。現場で見ているわたし達は思っています。これが「引きこもり問題の長期化」の大きな要因であると思っています。

待ってあげることは大事な考え方です、でも放置するのは意味が違う。

動き出すのを待つ、信じましょうという言葉は誰にとって都合がいいでしょうか?

「引きこもりの虚しさ、恐ろしさ、凄まじさ、だれからも必要とされていないと考える虚しさ、気が付くと何年も何十年も経っている恐ろしさ、自分はおろか周囲のものまでとことん傷つけてしまう凄まじさ・・・。」(K2語録)

こうしたほうがいい、ああしたほうがいいとアドバイスしてだめだったらその責任をだれがとるのか?となってしまう。それがずっと責任の押し付け合いになっているわけですが、人権を無視したような引き出し屋などは論外です。できることできないことは見極めて、やれることをしていく必要がある。

それが30年経って、8050問題の一因となっていると私は思っています。

セミナー当日の様子

K2はつながる・つながろう支援

K2はどのような支援をしているかという話をします。

K2の支援は、送り出し支援、解決型支援ではない。

送りだせてもいないし 解決していないメンバーはいっぱいいる。

それでもいつの間にか、一緒に仲間として働いているし、助けてもらってもいる。

良くならなくてもいいし 良くなってもいい。つながっているかどうかが重要だ。

つながっている間に、取り巻く環境がちょっとずつ変わって、何とかなっていたりすることもあるから、あら 不思議!

K2の支援は つながる つながろう 支援なんです。

基本K2は楽しい事ファースト。つらくさみしい時を長く続けていた若者達に難しい事やルールを教えるのではなく、まずは楽しいことを一緒にします。

彼らは同じ年代の子とうまくやれないのがひとつの特徴で仲間を欲しているのです。いろんな面白い経験、楽しい経験をして、最終的には支援をうけながら学校に行ったり、働いたり、やりたいと思う事をしています。

もう一つは、これだけ情報社会になっていても、自分たちだけが苦しみ、誰にも理解されない思い込んでいる。

ここにきて、ああ、あの人もそうなんだ、この人も・・・親も子も「気づき」がある。

僕だけじゃない、わたしだけじゃない。という気づきが入るのがスタート。

元気になってもまた引きこもる子も多くいますが、やっぱりつながりを切らない事が大事です。

良くなるとかよくならないとかじゃなく、ちゃんとつながっているかどうかが大事なんです。

支援される側から支援する側へ、支援されていた子が誰かの助けになる時、彼らはとても元気になります。自分の子どもが今引きこもっている人の世話をするなんで想像もできないかもしれないですが、解決するのではないんです。Pay it forward(恩送り)した子は何か状況が変わったとしても安心して挫折ができる、また挫折しても相談に来れる、頼りに来れるんです。

「つなぐ・つなげる・つながる支援」はここに集まったメンバーがお互いに助けたり助けられたりお祝いしたりする経験を共有するコミュニティーの中に入ることだと思っています。いろんなことができなくてもOKなんですよ。

ぼくらは解決型の支援でも寄り添い方の支援でもない、共感・・・、共生型の支援です。

インターネットだろうがリアルだろうが・・・まずつながる事が自立への一歩だと思っています。

寮リビングでの談笑
保護者のみなさん(K2家族の会)でボランティア

親の責任と覚悟

親の悩みはつきませんが、あきらめるのも大事、自分の子どもから一旦離れて、他人の子どもを面倒見てください。他人の子どもには冷静でよい先生になれます。もっといろんな子がいることを親が知る事で、自分の子どもへの対応にも気づく事にもなります。あなたの子どもがダメなのではなく、あなたの子どもがダメだと思うことがダメなんです。という風に受け取りを変える事が大事です。

親が笑わないと子どもも笑えないですよね、親が好きな事をやって楽しくしていることを子どもに言えるようになる事も大事です。

子どもの数が圧倒的に少ない中で失敗は許されないと思ってしまうのも親心です。でも、失敗していいんですよ。

「親の責任と覚悟」子どもが元気になって、いいところに就職して・・・と自分の思うようにはいかないです。ではどうしたらいいでしょうか?離れてつながる、つながっていても離れている事の重要さ、現実の地獄を見た者にしか伝わらないもどかしさ、人は離れるという事が一番。

これよりいい解決方法はありません。友達であろうが、親子であろうが、子育ても介護も近づきすぎる事によって起こる問題があります。 どう離れたらいいか、支援者と一緒に努力してください。子どもがつながらなくても、親が支援者とつながる事が第一歩なんです。

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